アップル、全素材を再生素材にすると宣言

アップル社が、今後、製品の素材をすべて再生素材に切り替え、限りある資源を新たに採掘せずに製品を作ると宣言しました。

アースデイの直前に発表された同社の環境責任報告書で、次のように述べられています。

「伝統的に、サプライチェーンというのは直線的なものです。素材が採掘され、製品が生産され、多くの場合、使用後に埋立地に廃棄されます。その後、同じ工程が繰り返され、新たな製品を生産するために更なる原料が地球から抽出されます。私たちは、サプライチェーンの輪を閉じ、再生可能な素材、あるいは再生された素材のみで製品を生産することを目標にすべきと考えています。」

ただし、いつまでに、どうやって達成するのかは明確にしていません。

「これは野心的な目標であり、達成までに長い年月をかけて、社内のチーム、サプライヤ、リサイクル業者と協力して進めていく必要があります。」とし、「いつの日か、原料の採掘を終了する」ことを目標にしています。

でも、既に動き始めてはいます。

アップル社は昨年、アイフォンの部品をリサイクルするロボット「リアム」を発表しています。リアムは、アイフォン6用に作られた解体ロボットで、バッテリーや受信機、スピーカー、カメラ、メインボード、カバーガラス、アラートモジュールを回収できるのだそう。11秒でこの8つの部品に分解でき、現在アメリカとオランダにある2拠点のリアム・システムで、年に120万台のアイフォンを解体できるとのこと。

ただし、このロボットを使ってリサイクルの仕組みを稼働させるためには、使用済のアイフォンを回収しなければなりません。
アップル社側も回収しやすい仕組みを作る必要がありますが、循環型社会を作るためには、私たち消費者も参加しなければならないということです。

アップル社はこれまで、他のメーカーと比べて環境対策に力を入れているとはいえず、環境団体から叩かれていましたが、2013年に元米環境保護庁長官のリサ・ジャクソンさんが環境担当ディレクターに就任してから、積極的に環境対策を行うようになりました。

昨年までに、全世界の同社施設で使われるエネルギーの96%が再生エネルギー由来になっており、既に24か国とすべてのデータセンターで100%を実現しているとのこと。今後、すべての施設で100%にすることを約束しています。生産工場やオフィスでのゴミゼロも目指しています。

限られた資源を無尽蔵に使い、無駄に捨てる、今の私たちの生活スタイルは、持続可能とはいえません。特にスマートフォンのような製品に使われている素材は稀少な資源ですから、遠からず枯渇します。次の世代に地球資源を引き継ぐためにも、今の生活レベルを持続させるためにも、資源の再利用は不可欠です。アップル社が資源の完全再利用を実現できれば、社会は大きく変わるかもしれません。

公式ウエブサイト:https://www.apple.com/

2017/04/25

  • ピックアップ記事