Emission
(Photo by robpatrick @flickr)

排出権取引 Vol.2

Vol.1 の続き

以上が、京都議定書に基づいた国際的な排出権取引ですが、各国、あるいは地域ごとに独自の取引システムを築いている場合もあります。

中でも規模が一番大きいのは、欧州のEU ETS(European Union Emission Trading Scheme: 欧州連合域内排出量取引制度)という欧州独自の排出権取引システムです。

こちらは、CDMやJIとは異なる仕組みです。
まずは欧州内の国ごとに割当量(EUA:EU域内排出権)が決められ、さらに各国の工場や施設ごとに割当量が決められます。各工場や施設は、温室効果ガス排出量削減の努力をしますが、割当量を超えてしまった場合は、罰金が課されるか、超過分の排出権をEU ETS内の工場や施設から購入します。逆に割り当て量を下回った場合は、差額を売却することができます。
この排出権の売買は、工場・施設間で取引することもあれば、まるで株取引のように、取引所のブローカーを介して行うこともあります。

このように、割当量、あるいは、排出量の上限(キャップ)を決め、その差額を排出権として取引する仕組みを、ベースライン&クレジットに対して、キャップ&トレードといいます。

また、京都議定書を批准していないアメリカでも、ニューヨークを含む北部7州でRGGI(The Regional Greenhouse Gas Initiative)という取引システムがあります。まだ稼動はしていませんが、こちらもキャップ&トレード方式になるようです。

他にも、国や地域政府が主体となって取り組む排出権取引システムは多々ありますが、民間の団体が作るシステムもあります。
そうした民間の認証団体などが作るシステムで取引される排出権を、VER(Verified Emission Reduction: 認証排出削減量)といいます。企業や団体、個人がカーボン・オフセットを目的に利用することが多く、アメリカでは多数のVERが取引されています。

以上のように、排出権取引に関しては、いろいろな複雑な仕組みがあり、しかも始まったばかりの新しい概念ですから、まだ世界的に試行錯誤している段階のようです。

もちろん、排出権の売買を考える前に、温室効果ガスの排出量を減らす、あるいはその吸収源を増やす、いずれかの方法を採ることが望ましいのですが、それが不可能であるならば、こうしたシステムに頼ることも必要なのかもしれません。

ただ、排出権は、あくまで目に見えない空気を人間の勝手な解釈で取引しているに過ぎないので、これに振り回されることなく、金儲けや不健全なビジネスの道具として使われることなく、本当に地球のためになるように、地球と人類が共存できるように、上手に利用していくことが大切なのではないでしょうか。

環境省の排出権取引に関するウエブサイト

環境省の京都議定書に関するウエブサイト(日本語)

国連気候変動枠組条約の京都議定書に関するウエブサイト(英語)

参考文献:排出権取引とは何か (PHPビジネス新書 60)