エコデザイナーインタビュー:カオリ・ヤマザキ Vol.2

kaori yamazaki

NYで活躍する日本人エコデザイナーのカオリ・ヤマザキさん。
デザイナー集団eko-labの一員として、瞬く間にNYを代表するエコファッションデザイナーになるも、脱退。
現在は「カオリ・ヤマザキ」ブランドを展開し、アメリカのみならず、世界中のエコファッションラバーを魅了しています。
無理せず自然体にエコファション・エコライフを実現する素敵な女性、カオリ・ヤマザキさんにインタビューを敢行しました!

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Vol.1 から続く

カオリさんがサステナブルデザイナーになった2006年から今までで、サステナブルな素材はどのくらい増えましたか。

5倍くらい増えているんじゃないかな、と思います。

素材を選ぶ際のサステナビリティに関する基準、あるいはここまでは許せる、許せないという境界線はありますか。

私がちゃんと理解している素材を選ぼうと思っています。
たとえば、テンセルという素材はサステナブルと言われていますが、化学薬品を使っているし、自分の目で製造工程を見たわけじゃないので、本当のところはわからない。だから使いません。
バンブーも、生地にする過程で漂白剤を使ったり、強いケミカルを使って竹を砕くということを聞いたことがありますし、自分の目で見たわけじゃないので、わからないうちは使うのはやめようと思っています。
エコなシルクで認証の得ているものが出てくれば使いたいんですが、まだないと思いますし、シルクに関してはまだよくわからないことが色々あるので、使うのを控えています。

シルクやウールは、環境よりも動物愛護が問題にされることが多いですが、動物愛護に関しては、どういう意見を持っていますか。

そうなんですよね。
動物愛護の気持ちはあるんですが、蚕や幼虫をどこまで愛護するかというと、アリも殺さないというレベルにまで行っちゃうと思うので、私はそこまで行く準備はできていません。
肉より野菜の方が好きですが、ベジタリアンではないので、肉も食べますし。
ヴィーガンから始まり、色々な考えの人がいるとは思うんですけど。

ハイファッションもファストファッションもあらゆるファッションブランドがオーガニックを使い始めていますが、ファッションとサステナビリティの関係について、どう考えますか。

ステラ・マッカートニーのような大きなブランドがオーガニックコットンを使い始めたり、影響力のある人たちが声高に言ってくれるのは、良いことだと思います。
H&Mのようなファストファッションがオーガニックコットンを使うことも、基本的には良いことだと思います。
ただ、オーガニックコットンのTシャツ買いました、次のシーズンになって、また新しいオーガニックコットンのTシャツを買います、っていうのは、違うと思います。
少なくとも2-3年は着ないとおかしいですよね。
ハイエンドなブランドにおいても、せっかくオーガニックコットンを使っても、次のシーズンにはまた新しいスタイルを作らなければならない。それって、矛盾してるなと思います。
悪い動きではないと思うけど、矛盾を直すというか、こうした動きをきっかけに人々の意識が変わっていくといいなと思います。

小さなブランドのデザイナーとして、大企業がサステナブルになることについて、どう思いますか。

悪いことだとは思わないし、応援したいと思います。
私たちのような小さな企業が大きな企業に対抗にするには、差別化しなければならないんだと思いますが、小さくローカルでやっていること自体が私たちなりのユニークさだと思うんです。そこを押し出していけば、共感してくれる人は絶対にいると思います。
大企業は、オーガニックをたくさん使って、貧しい国を潤してくれればいいと思うけど、私たちにそういうことはできないし、既に大きな違いがあるんだから、それを個性として、私たちなりに貧しい国の中の一家族でも幸せにできればいいかなと思います。
大企業に張り合おうなんていう気持ちはまったくないんです。

Vol.3 へ続く

2009/11/06

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