polar bear
(Photo by Just Being Myself from flickr.com)

アメリカの農薬が北極グマの命を危険に晒す?
―オーガニックの必要性、農薬の影響を考える

先月、環境NPOセンター・フォー・バイオロジカル・ダイバーシティが、アメリカで使用されている農薬による毒物汚染が北極グマや北極圏の生態系に影響を与えていることに対して、米環境省(EPA)を訴えました。

アメリカで使った農薬が、北極グマの命を危険に晒している?
いったいどういうことでしょう?

オーガニックフードやオーガニックコットンなど、オーガニック関連の商品が市場にたくさん出回っている現在でも、多くの農場では、大量の農薬や殺虫剤が使用されています。

使われている農薬や殺虫剤の中には毒性が非常に高いものもあり、それらが地中や空気中、海中、植物中に堆積し、長い距離を旅する渡り鳥や魚、あるいはその他動物や人間などを介して、北極圏まで運ばれてしまいます。

そんなことは稀でしょう、と思うかもしれませんが、実際に植物がほとんど育たないために農薬など使われることのない北極で、アメリカで使用している農薬成分が多く発見されているのです。

しかも、食物連鎖によって農薬は濃縮されていきます。
海に流出した農薬をプランクトンが摂取し、それを小魚が食べ、中くらいの魚が食べ、大きな魚が食べ、動物が食べ、それを人間が食べると、最後には農薬は何百万倍にも濃縮されてしまうのです。
食物連鎖における高位の生物である北極グマは、高濃度の農薬に晒されることで、病気になったり、免疫系を破壊されて病気になりやすい体になったり、ホルモンが影響を受けて子供が産めなくなったり、産めても子供が長く生きられなかったりと、様々な影響を受け、絶滅の危機に瀕しているのです。
北極では、クマを食糧としている人もいますから、人間が同じような影響を受けることだってあるのです。

この問題は動物愛護とは異なります。
北極グマがかわいそうといった人間の感情論ではなく、地球のある一部で人間によって使用された農薬が、遥か遠くの地に住む動物を絶滅危機に陥らせ、生態系を破壊していることを問題としているのです。

地球はさまざまな生物によって成り立っていますが、動植物が絶滅し、種の数が減ることで、地球の生態系が乱れて行きます。
ある生物Aが絶滅すると、それを食べていた生物Bはエサがなくなるため生きられなくなり、逆に生物Aに食べられていた生物Cは、食べられることがなくなるために過剰に繁殖してしまいます。繁殖したCはエサとしている生物Dを食いつくし、Dは絶滅してしまいます。Dが絶滅すると、それを食べていた生物Eは・・・と連鎖が起こります。

自然の力でそういった事象が起こっているのならば仕方ないかもしれませんが、人間が起こしていることなのだから、人間の行為次第でその現象を食い止めることができるのです。

アメリカでは、農薬や殺虫剤を使用する際、EPAに登録されているものしか使ってはいけないことになっていますが、登録されている農薬や殺虫剤がこのような現象を起こしているのだから、EPAはその影響をきちんと調査しなければならない、というのが、この訴訟の趣旨です。

これまでに、センター・フォー・バイオロジカル・ダイバーシティは、EPAに対し数々の絶滅危機種保護のための農薬使用禁止を求める訴訟を起こし、勝訴しています。

こうした訴訟を起こすのは個人にはできないことですが、私たちひとりひとりも、この運動に協力することはできます。

まず、なぜこうした現象が起こっているのか、考えてみましょう。

農薬や殺虫剤が使われるのは、それを使った食品や繊維を消費する人がいるからではないでしょうか。

農薬を使用するのは、たくさん栄養分を与えて、労力を掛けずに大量に生産したいから。そうすることで価格を抑えることができるから。
殺虫剤を使用するのは、害虫によって植物が病気になるのを防ぐため、そして虫に食べられた跡がないきれいな状態で食品として販売するため。
本来自然界では虫が植物を食べるのは自然なことなのに、虫に食べられた跡のある野菜は売れないから、殺虫剤を使用して殺してしまいます。
捕食関係を理解して、害虫と良虫の組み合わせや害虫の嫌う植物を植えるなど、自然の摂理に沿った方法で栽培すれば、殺虫剤を使わなくても植物は育つのです。

アメリカでも日本でも、農薬や殺虫剤を使用していないオーガニック食品やオーガニック繊維製品は、求めれば手に入る時代になっています。

アメリカでは、95%以上農薬・殺虫剤を使用していなければオーガニックと名乗ることができるので(USDAオーガニック)、100%オーガニックと記載されているものを選ばない限り農薬使用量をゼロにすることはできませんが、たとえ5%使用されていてもオーガニック製品を選ぶことで、大幅に農薬・殺虫剤の使用量を減らすことができるのです。

地球上のすべての人が、こうした問題を真剣に考え、農薬や殺虫剤を使った商品を消費しなくなれば、作っても売れないのですから生産されなくなります。
大変な能力と労力を使って訴訟に持ち込まなくても、私たちひとりひとりの行動次第で、農薬や殺虫剤の使用を止めることはできるのです。

次に買い物にいったとき、何を選ぶかはあなた次第。
地球の生態系破壊に加担するか、たとえ小さな力でも地球の持続可能性のために一歩を踏み出すか、決めるのはあなた次第なのです。

関連記事:
オーガニックコットン
USDAオーガニック
オーガニックvsナチュラル

The Center for Biological Diversity
ウエブサイト: http://www.biologicaldiversity.org/

Environmental Protection Agency
ウエブサイト:http://www.epa.gov/

2010/01/06


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