nyc water on the go

ニューヨークの水道水を飲もう!
”ウォーター・オン・ザ・ゴー”キャンペーン

安全、おいしい、そのうえ無料と、3拍子揃ったニューヨーク市の水道水。
せっかく良い水が手軽に無料で手に入るのに、わざわざ資源やエネルギーを使って作られたペットボトル水を購入する必要はありません。

そこで、ニューヨーク市と市内の地域団体が結束して、もっと水道水を飲んでもらおう!というキャンペーンを開催中。

夏の間、ユニオンスクエアやブルックリン、ブロンクスなど各地のグリーンマーケットや、タイムズスクエアやブルックリンブリッジパークといった観光スポットなど、ニューヨーク市内のさまざまな場所に”水お持ち帰りステーション(Water on the Go Station)”を設置し、ニューヨークの水の良さを知ってもらおうというイベントを毎日行っています。

”水お持ち帰りステーション”とは、移動式の蛇口とシンクに消火栓から水を引いた即席水飲み場のこと。
たったそれだけのことですが、暑い夏に冷たい水が無料で飲めるのは有難いことですし、かわいらしいロゴとおしゃれなシンクのデザインが通りすがりの人々を目を惹き付け、多くの人が水を飲んだり持っているウォーターボトルに水を足したりと、一躍人気スポットになっているのです。
ペット用のウォーターボウルも設置されているので、ペット連れの人にも大好評。ペットだって、散歩するのに熱いアスファルトの上を歩かなければならないのですから、水分補給が必要なはず。無料で飲めるおいしい水に、人間だけでなくペットも大喜びなのです。

ニューヨーク市がこうしたイベントを開催して水道水をアピールしているのには、さまざまな理由があります。

ひとつは、環境のため。
水道水を飲む人が増えれば、ペットボトル水を買う人が減り、その分ペットボトル生産に費やされる資源やエネルギーが削減されます。
ジュースやお酒と違い、水は蛇口をひねれば出てくるもの。わざわざペットボトルに入れて販売する必要はないのです。
アメリカ国内で消費する水用のペットボトルを作るのに、年150万バレルの石油(年に25万世帯あるいは10万台の車に使われる量)が使われているのだそう。
しかも、ペットボトルを作るためには水も必要とするので、1リットルのペットボトル水を作るために3リットル以上の水を使うのだとか。
1リットルの水が必要なら、1リットルの水を使えば済むはず。世界中で水や資源の不足が叫ばれる中、3倍もの水や大量の石油を無駄に使う必要はないはずなのです。

もうひとつの理由は、ニューヨーク市民の健康のため。
アメリカでは人口の約1/3が肥満と言われていますが、その原因のひとつとなっているのがジュース。
ファーストフードで大きいサイズのドリンクを頼むとバケツのような巨大なカップが出てきますが、糖分が多いジュースを日々大量に飲んでいれば肥満になるのも時間の問題です。
肥満人口が増えると政府の医療費負担が増えるので、行政は市民の健康には敏感です。アメリカは国民皆保険ではありませんが、収入の低い人やお年寄りには国が保険を提供しています。
そのため、州ごとに、糖分の高い飲料に税金を課したり、公立校の自動販売機にジュースを置かないようにするなど、さまざまな肥満対策が実施・検討されています。
ジュースの代わりに水を飲むよう促進するのは、肥満対策のひとつでもあるのです。

さらに、安いということも理由に挙げられます。
ニューヨークは貧富の差が激しい都市ですが、貧しい人でもお金を掛けずに水分が補給できるのですから、こんなに有難いことはありません。
充分裕福であっても、安くて済むはずのものに高い金額を支払う必要はありません。

そして、おいしいことも大きな理由。
ニューヨークの水のおいしさは、過去さまざまなコンテストで優勝、あるいは上位に入った実績があることからも証明済。
他都市との比較もさることながら、ペットボトルの水と比較したコンテストでもニューヨークの水道水の方がおいしいという結果も出ているのです。

それに、ニューヨークの水は高品質。
ニューヨーク州北部のキャッツキルという自然保護地域から水を引いているうえ、毎日1,000以上のサンプルを基に900回以上の検査を行っているから安全性は保証されています。
本来大都市の水道水はろ過設備を設けなければならないと決められていますが、ニューヨーク市は環境省から特別にろ過設備の設置延期を許可されています。つまり、ろ過しなくても良いほどに品質が高いと国からお墨付きももらっているのです(EPA NYC Filtration Avoidance)。
ペットボトルの水は水道水より品質が良いようなイメージがありますが、実はそんなことはありません。さまざまな研究機関の調査により、あまり差がないか、むしろ水道水の方が品質が高いケースが多いことが判明しています。
アメリカでは公共のものである水道水に対する品質基準は厳しく設定されていますが、民間企業が生産するペットボトル水の品質基準は規制があまり厳しくないからです。

水をペットボトルに入れて販売されるようになったのは、ここ10数年のこと。
それ以前は、水は水道から飲むものでした。
最初は、水道水よりおいしい清流や源流の水を飲んでもらいたいという思いから、本当においしい水だけをボトルに詰めて販売していたのでしょうが、今ではなんとなく水道水よりペットボトル水の方がおいしくて安全なイメージが定着してしまったために、水道水をそのままボトルに詰めただけのものが多く出回り、それでビジネスが成り立ってしまっています。

本来水道から安全簡単に飲めるはずの水を、なぜペットボトル水の会社にお金を払って飲まなくてはならないのでしょう。
水は、天然の資源。特定の誰かが利益を得るための手段とするのではなく、世界中のみんなで平等に共有しなくてはならないものです。
ペットボトルの水を飲むということは、他国・他地域の水を奪うこと。
自分が住む地域に安全な水があるのなら、それを飲むべきでしょう。

ニューヨークに限らず、最近は多くの都市が水道水の安全性や品質の向上に努めています。
もちろん、水道の管理が整備されていない国や都市で安易に水道水を飲むのは危険ですが、必要以上にペットボトル水に頼ると環境汚染に繋がるという事実を知っておくことは大事でしょう。

当たり前のように存在する水。でも、貴重な資源でもある水。
私たちは水がないと生きていけないのだから、水のこと、きちんと考えよう。
そんな思いを抱かせてくれる、ウォーター・オン・ザ・ゴー・ステーション。
出没する場所は日によって変わりますが、ニューヨーク市水道局のウェブサイトで確認できます。

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NYC Water on the Go
ウエブサイト: http://www.nyc.gov/html/dep/html/drinking_water/wotg.shtml

2010/08/14


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