ニューヨーク自転車シェアリング、来春に延期

Citibike

今年7月にスタート予定だった、ニューヨーク市の自転車シェアリングサービス。
来年3月に延期することが、発表されました。

シティバンクから4,100万ドルのスポンサーシップを得、市内各地で何度もデモンストレーションが行われていたにも関わらず、7月を過ぎてもなかなかスタートせず、疑問と憂慮の声が上がっていた市のシェアリングサービス「シティ・バイク」。

遅延の原因は、システムのトラブルでした。

業を煮やしていたのはニューヨーカーだけでなく、市長や市の交通局長も。

ラジオ出演したブルームバーグ市長は、「ソフトウェアが機能しない、たったそんなことなんですよ」(NYC.gov)と、不満の声。
遅延に関するプレス発表では、サディク・カーン交通局長が、「サービス開始1日目からトラブルがないようにしなければならない」と苦言(Citibikenyc.com)。

実は、ニューヨークのシェアリングサービスには、市から資金が一切投入されていません。
にも関わらず、サービス開始後に利用者から入る売上の一部が市に提供される仕組み。
自転車利用が増えれば、車の利用が減り、温室効果ガス排出量が減り、大気がきれいになる、そのうえ税金を使用せず、収入源にもなるのですから、市はシェアリングサービスを強く支援し、率先して広報活動を行ってきました。
ところが、サービスを構築・運営するのは民間企業なので、遅延に対して市はどうすることもできないのです。

シェアリングサービスを提供するのは、アルタ・バイシクル・サービス社。
これまでに、イギリスのロンドン、オーストラリアのメルボルン、アメリカではボストン、ワシントンDC、ミネアポリスなど、世界各地の大都市で同様のサービスを提供してきた、実績ある企業。

1万台の自転車と600の貸出・返還拠点を設置するという大きなプロジェクトですから、これまでとは異なる難しい状況だったのかもしれません。

遅れる代わりに、来年3月にはマンハッタン・ブルックリン・クイーンズに420拠点・7,000台の自転車を設置し、大々的にサービスを開始する予定。
その後、予定通り600拠点・1万台に拡張します。

その間に、ニューヨークから電車で行けるロングアイランドの人気ビーチ、ロングビーチが自転車シェアリングサービスを開始。

運営しているは、マイアミの自転車シェアリングサービスを運営しているデコバイク社。
ロングビーチのシェアリングサービスは、400台の自転車と25の貸出・返還拠点。
ニューヨーク市とは規模が大きく異なりますが、"ニューヨーク州初"の自転車シェアリングが、ニューヨーク市ではなくロングビーチとなってしまったのは、サステナブル戦略を進めるニューヨーク市にとって、手痛い失態。

いずれにしても、既にアメリカ国内だけでも、ワシントンDC、ボストン(マサチューセッツ州)、アナハイム(カリフォルニア州)、デンバー、ボルダー(コロラド州)、ヒューストン、サンアントニオ(テキサス州)、ミネアポリス(ミネソタ州)、アトランタ(ジョージア州)、チャッタヌーガ(テネシー州)、デモイン(アイオワ州)、カンザスシティ(ミズーリ州)、オマハ(ネブラスカ州)、シャーロット、スパータンバーグ(ノースカロライナ州)、ルイスビル(ケンタッキー州)、マディソン(ウィスコンシン州)、マイアミ、フォートローダーデール(フロリダ州)、シカゴ(イリノイ州)など多くの都市、そして、自転車移動が難しい都市では大学構内で自転車シェアリングが行われています。

いずれ、どんな都市や地域でも自転車シェアリングと公共交通機関が簡単に利用できるようになり、車の要らない生活が実現すれば、社会はもっとサステナブルになりそうですね。

Citi Bike
ウエブサイト:http://citibikenyc.com

2012/08/20

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