米大統領選、エコ派はどちら?  Vol.1

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11月の大統領選挙を控え、アメリカでは、オバマかマケインか、という話題でもちきり。
そんな中、両候補者が、科学に関する14の質問に回答。
エコに関する問題が満載のこの質問に対する両者の回答は、非常に興味深いものでした。
以下、サステナビリティに関する質問に対する回答のみ、簡単に記載します。

まず、気候変動に対しては、両氏とも2020年までに1990年のレベルに排出量を削減すること、削減方法としてキャップ&トレード方式を採用することを表明。

ただし、オバマ氏は2050年までに1990年レベルより80%削減、マケイン氏は同60%削減との違いが。

また、オバマ氏は、気候変動における世界的リーダーシップを再構築すること、国連の気候変動枠組み条約を再保証し、G8にブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカの5カ国を加えた「グローバルエネルギーフォーラム」を構築すること、そして、グリーンビルディングやCCT(環境に優しい石炭利用技術)、先進車開発技術など、環境にやさしい技術を輸出する「テクノロジー・トランスファー・プログラム」を作ることを表明。

一方、マケイン氏は、以前から支持しているCAFE(Corporate Average Fuel Economy)基準(車メーカーは基準より悪い燃費の車を販売した場合、罰金を支払うという法律)を徹底・強化することを表明、排出ガスゼロの車を購入した消費者に最高5,000ドルの税免除をする「クリーン・カー・チャレンジ」を提唱、そして、ハイブリッド車や電気自動車が充電するための、商業利用が可能なバッテリーを開発した人には3億ドルの賞金を提供することを提案。
また、CCT(環境に優しい石炭利用技術)に対し、今後15年間、年20億ドル投資することも約束しています。
ほとんどが自動車メーカーにとってメリットになる事項であるのが気になるところではあります。

続いて、エネルギーに関しては、大きな見解の相違が。

オバマ氏は、クリーンエネルギーに関する研究・開発・展開に対し、10年以上で1,500億ドルを投資することを表明。
これに含まれるのは、代替燃料・化学薬品の研究・開発、新古問わず住居・オフィスビルにおけるエネルギー利用を削減するための装置開発・設計、石油消費を大きく削減する新技術開発、新しい発電技術やプラグ接続式技術により経済発展を促進する先進エネルギーの保管・送電方法の開発、石炭発電所から排出される温室効果ガスの捕獲・封鎖技術、価格・安全性・廃棄物処理・拡散リスクの問題に対処した新原子力発電技術の創出。

また、エネルギー革新において、以下の具体的な目標値を設定。
今後10年で、ビルのエネルギー効率を、新築ビルで50%、中古ビルで25%高めること、車の燃費経済性を年4%ずつ高めること、国内自動車工場や部品 メーカーに対し、新しい燃費効率車の生産において借り入れ保証を行うこと、再生可能エネルギーに対する税免除を5年間延長し、米国内の再生可能エネルギーによる電力供給を2012年までに10%、2025年までに25%にする「再生可能エネルギー・ポートフォリオ標準」を創出すること、エネルギー・環境目標を支援する連邦政府関連機関に対し、規制と報奨を約束すること。

一方、マケイン氏は、エネルギー需要を満たし、温室効果ガス排出を削減するため、2030年までに45の原子炉を稼動することを約束し、原子力発電の重要性を強調。
再生可能エネルギーに対する税免除に反対していたことに対しては、それが暫定的なものであるから、と弁明。
風力・太陽熱・地熱・潮流・水力発電などの代替エネルギーに関しては、政府は調停者ではなく支持者とならなくてはならない、と述べるにとどめ、クリーンエネルギー技術アジェンダを作成し、グリーン技術で世界のリーダーになることを約束する、としています。

気候変動とエネルギーというエコに関する二大問題に対し、両者でこのような差が出ているということは、地球に住む我々にとって、この大統領選は非常に大きな意味を持つということなのかもしれません。

続きはVol.2で。

Science Debate 2008
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2008/09/22

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