米小売業界、
ハリケーン・サンディ被災地復興支援

アメリカ東海岸に甚大な被害をもたらした、ハリケーン・サンディ。

1週間以上経った現在でも、電気や水がない暮らしを強いられている人が大勢います。

大規模火災が起こったニューヨークのブリージー・ポイントでは、街のほぼ全域が焼け、家を失った人々は、先が見えない不安の中で日々生活しています。

マンハッタン・ダウンタウンの浸水した住居・オフィスビルは、未だ住民やテナントの立ち入りを制限。
地下や1階に溜まった水は汲み出したものの、流された車や工業製品から流出した油やガスでボイラーなどが汚染され、設備を修理交換しない限り、再入居させられないのだそう。

街中では徐々に回復の兆しが見えているものの、人々が日常を取り戻すには長い時間がかかります。

そんな中、アメリカの小売企業が復興支援を開始。

小売各社の支援策

世界最大の小売企業ウォルマートは、水や食糧、日用品、毛布などの物資を提供するほか、赤十字、サルベーション・アーミー、恵まれない人々に食糧を提供するフィーディングアメリカの3つの非営利団体に対し、最大150万ドルを寄付することを約束。

同じくディスカウンターのターゲットは、計50万ドル分の復興支援を発表。
42万5千ドルを赤十字に、5万ドルをサルベーション・アーミーに寄付し、被災地の店舗に対し地域住民の復興支援用に2万5千ドル分のギフトカードを提供。

百貨店のメイシーズは、顧客や従業員を巻き込み、100万ドルの寄付を目指して復興キャンペーンを展開。
11月中、店頭やウエブサイト上で一口1ドルの寄付を募り、集まった金額と同額を上乗せして(最大50万ドルまで)赤十字に寄付するというもの。
従業員に対しては、メイシーズ財団が行っている既存の寄付キャンペーン「マッチングギフト」を適用し、従業員が25ドル以上寄付すると同額をメイシーズが寄付する仕組みを展開。

ホームセンターのホームデポも、100万ドルを寄付。
内訳は、毎年恒例の50万ドルの寄付に加え、サンディ復興用に25万ドルを赤十字に寄付、退役軍人で構成される危機管理チームを被災地に派遣する非営利団体"チーム・ルビコン"に10万ドルを寄付、被災地に食料や衣類、仮設住宅を提供する非営利団体"オペレーション・ホームフロント"に15万ドルを寄付。

カジュアルウェアのギャップは、25万ドル分の衣類と75万ドルの現金、計100万ドル分を赤十字を通して寄付。

ヴィクトリアズ・シークレットなどを傘下に持つリミテッド・ブランドは、50万ドルを赤十字に、50万ドルをその他非営利団体に寄付。

ランジェリーブランドのナトリは、11月11日までのオンライン売上の20%を赤十字に寄付。

オンラインオークション最大手のイーベイは、サンディ復興専用サイトを用意し、BUY(非営利団体が出品している商品を購入)、DONATE(さまざまな非営利団体に寄付)、SELL(出品者が売上の10-100%を希望の非営利団体に寄付)の3つの方法で復興支援。

シアーズとKマートは、被災地域のポイントカード保持者に対し、20ドル分のポイントを提供。
ポイント利用可能期間は11月3日から8日のみとかなり短期ではあるものの、すべて使用されると約3億5千万ドルに上るのだそう。

その他、利益の一部が寄付されるサンディ復興Tシャツを販売するブランドなど、各社工夫を凝らして被災地の復興を支援しています。

近年さかんに行われている、"企業は誰のものか"という議論。
株主、従業員、顧客、社会、と、人や企業によって答えはさまざま。
そのすべてが正しい答えなのでしょうけれど、企業は社会の一員。
社会を支援しなければ、困った時に社会は助けてくれないでしょう。

今後、規模も頻度も増すと予想される自然災害。
厳しい自然環境の中で最後に生き残るのは、直接的な利害関係者だけでなく、社会のために力を尽くす企業なのかもしれません。

2012/11/06

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