アディダス、海のプラスチックゴミと
違法漁業の魚網を使ったスニーカーを発表

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(Photos Courtesy of Adidas)

アディダスが、海のプラスチックゴミと違法漁業の魚網を使ったスニーカーを発表しました。

アッパー部分全体に、プラスチックゴミや魚網の再生繊維を使用した、世界初のスニーカー。
違法漁業なんて、響きは少し不穏ですが、ブルーグリーンと白の組み合わせがさわやかな印象。
履くことで海ゴミ問題の解決に貢献でき、話の種としても重宝しそうです。

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この企画は、海のプラスチックゴミ問題に取り組む団体、パーリー・フォー・ザ・オーシャンとのコラボによるもの。

同団体は、デザイナーやミュージシャン、科学者など様々な分野の人々から構成され、アディダスも創業メンバーに名を連ねています。

昨年には、ミュージシャンのファレル・ウィリアムス、デニムブランドのGスターと三者コラボによる、海のプラスチックゴミを使ったデニムも販売しています(詳細はこちら)。

小さなポイ捨て、大きな環境問題

海のプラスチックゴミ問題とは、海岸や川、排水溝などから海に流出したプラスチック製のゴミが、海洋生態系に悪影響を及ぼしていること。

プラスチックゴミは、太陽光に当たることで脆くなり砕けていきますが、生分解されず分子レベルの小さな破片となって残ります。
これがプランクトンや小魚の体内に取り込まれ、さらに食物連鎖の上位の魚や鳥、哺乳類に取り込まれ、最終的には人間の口にも入ります。
プラスチックの成分には有害なものもあり、食物連鎖の上位に行くほど濃縮されるため、最上位にいる私たち人類への影響が懸念されています。

また、比較的小さなプラスチックゴミは、魚や鳥や哺乳類がそのまま摂取し、呼吸・排泄困難を引き起こすことも少なくありません。

密漁や放置された魚網の問題

プラスチックゴミの中には、漁業に使われる魚網もあります。
放置・破棄された魚網に引っかかり、動けなくなった魚や亀、哺乳類が発見されています。

国連で禁止されている公海での流し網漁が、違法で行われていることもあります。
流し網漁とは、海中に網を漂流させ、網目に魚が頭を入れたり絡んだりすることで漁獲する方法ですが、目的外の魚や亀、哺乳類が誤って網にかかることがあるため、公海での利用は禁止されています。

こうした問題を知ってもらうため、アディダスは魚網のゴミも使用。

使用する魚網は、パーリーと提携している海洋保全団体シー・シェパードが、110日間にわたる密漁漁船の追跡調査の際に回収したものです。

海のプラスチックゴミ問題を解決するには、プラスチックの利用を減らすこと、あるいは、積極的にリサイクルすること。
アディダスの海ゴミスニーカーを履くことも、そのひとつ。

スニーカーは、現在プロトタイプの段階ですが、年内に発売開始の予定です。

Adidas
ウエブサイト:http://www.adidas.com/

2015/07/02

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