地域支援型農業
(CSA:Community Supported Agreculture)

csa
(Photo by thebittenword.com from Flickr)

ローカル生産=地産地消(その地で作られたものをその地で消費する)の概念が、アメリカでは声高に叫ばれています。

理由のひとつは環境問題。
物流によるCO2排出量を少しでも減らすため、地元で作られたものを購入しようというムーブメントが起こっているのです。

それに、地元で収穫された野菜や果物は新鮮でおいしい。
そのうえ、環境負荷を削減できるのだから、言うことなしです。

さらに、地元産の食品を選ぶだけでなく、地元の農家を支えるための仕組みがあります。
それが、コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャー(CSA)―地域支援型農業。

CSAに参加する農家は2007年時点で全米に12,549もあり(米農務省より)、現在も急速に増え続けています。
ニューヨーク市のCSA「ジャストフード」は1996年に設立された比較的新しい組織で、チェルシーやイーストビレッジ、ミッドタウンなどエリアごとの100近くの支部を統括し、農家と地域のマッチングや教育、広報活動を行っています。

実際にCSAではどのようなことが行われるかというと、まず家や勤務先がある地域のCSAに加入し、作付けが始まる前に(春期は2-4月頃)半年分の作物代を支払います。
支部によって金額は異なりますが、大体1家庭(3-4人用)で400-600ドル前後。半年で均せばスーパーで購入する額と変わりません。
低収入の家庭に対し、収入に応じて一部支払を免除する制度を設けているCSAもあります。
地域で支援しあうことがコンセプトなので、免除分は、他の会員の会費から賄われます。
集めた資金は、支部の責任者が農家に支払います。
農家は、事前に支払いを得ることで、種や農機を購入したり、人を雇ったり、借り入れすることなくシーズン前に必要なコストを補うことができるのです。

収穫が始まると、週に一度、農家が各CSAの分配所(教会や市民会館など地域の公共の場所が多い)に野菜や果物を届け、メンバーはそれを受け取りに行きます。
ただし、その時に収穫されたものが配られるので、どんな野菜や果物が届くのかは行ってみないとわかりません。
欲しいものが手に入らないことに不満を感じる人もいるようですが、CSAは農家をサポートするための仕組みであり、地産地消のムーブメントでもあるので、その時期に収穫できたものを農家から分けて頂くというのが本来の姿。
何が来るか分からないのも楽しみのひとつであり、食べたことのない野菜や果物が届けば料理のレパートリーも広がります。
追加料金を払えば、肉や卵、花など、野菜や果物以外を提携農場から購入できる支部もあります。
荷降ろしや分配などの作業は、会員が順番にボランティアで行うことが多く、皆で地元の農業を支えているという一体感が生まれます。

支部により異なりますが、CSAに参画している農家は殆どがオーガニック農家。
農薬や化学肥料の心配をする必要がなく安心だし、近くの農家で採れたものだから新鮮。
それに、シーズン前に代金を支払うことで、会員は契約農家のシェアホルダーになるようなものなので、会員と農家間の暖かい繋がりが生まれます。

そのため、多くの支部で応募が殺到。
キャンセル待ちでないと加入できない状態が続いています。
契約農家を増やすなど、支部も努力はしていますが、支部の運営者もボランティアなので性急には動けません。
今後は、各地域の政府が協力し、地域の食は地域で自給自足、となる日が来るかもしれません。

CSAの仕組みは、1960年代にドイツやスイス、日本で始まったとされていますが、ずっと昔には世界中で当たり前に行われていたことだったのでしょう。
でも、それを今、ニューヨークという世界を代表する大都会で行うところがすごいことといえるのかもしれません。
それだけ、皆が食の安全や環境問題を真剣に考え、将来の世代が地球と共存できることを切に願っているのです。

日本にもこうしたシステムが早く浸透・・・というより、復活するとよいですね。

Just Food - CSA in NYC
ウエブサイト:http://www.justfood.org/

CSA Lower East支部
ウエブサイト:http://stantonstreetcsa.wordpress.com/

CSA Astoria支部
ウエブサイト:http://www.astoriacsa.com/

2011/02/09改訂
2008/07/17

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