H&M、2010春夏サステナブル・コレクション

環境対策に真剣に取り組んでいるファストファッションブランドH&Mが、2010年春夏シーズンのサステナブルコレクションを発表!

3月末から店頭に並んでいる、レディスの"ガーデン・コレクション"では、軽やかな花柄のワンピースやトップス、淡いピンクや赤のフラワーモチーフのドレスなど、春らしいフェミニンアイテムが目白押し。
ギンガムチェックのシャツ、ベージュのジャケットやショートパンツなど、さわやかな定番スプリングアイテムも揃っています。

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(All Photos courtesy of H&M)

メンズはレディスより数は少ないですが、ボタンダウンやチノパンなど、長く愛用できるベーシックアイテムを取り揃えています。

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もちろん、これらのアイテムはすべてエコ素材。
エコといっても、オーガニックコットン、リサイクルポリエステル、テンセルなどエコ度合いはさまざまですが、エコブランドではないのにこれだけのサステナブルアイテムを展開するのはすごいことです。

しかも、H&Mが考えるサステナビリティは、エコ素材に留まりません。
チャリティ活動にも積極的に取り組んでいるのです。

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2010年夏の水着コレクションは、水が乏しく貧しい地域に清潔な水を供給する団体"Water Aid"に売上の10%が寄付されます。

蛇口をひねればきれいな水が出てくる環境に住む私たちには、なかなか想像し難いことですが、世界には、水資源に乏しく簡単に水が得られない地域、貧しくて飲用に適する衛生状態の良い水を入手することができない地域があるのです。

肥満で悩むほど食料や水が豊富にあり、必要以上のモノを買い揃え、それでも幸せを感じられずにストレスに苛まされている私たち。
H&Mの水着コレクションをきっかけに、生きるための水を得ることすらできない苦しみを考えてみる必要があるのかもしれません。

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6月に店頭に並ぶ予定の、スウェーデンのイラストレータ、ルヴィザ・ヴァーフィットとのコラボバッグは、オーガニックコットン製であるだけでなく、売上の30%がユニセフとH&Mのコラボプロジェクト"All for Children initiative"に寄付されます。
"All for Children initiative"プロジェクトとは、南インドでコットン生産を行う地域に住む貧しい子供たちを助けるための基金のこと。
H&Mはこのプロジェクトにより、2009年から5年間で450万ドルの基金を集める計画を立てています。
"All for Children initiative"のアイテムは、09年末に販売されたソニア・リキエルとのコラボコレクションに2点、こちらのルヴィザ・ヴァーフィットのバッグが3点目、そして今年8月には別のイラストレータとのコラボにより4点目のバッグが販売される予定なのだそう。

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さらに、服やバッグだけでなく、オーガニック・ナチュラル原料のスキンケア商品も発表。
リップバーム、ハンドクリーム、シャワージェル、ボディスクラブ、ボディローションと、日々の生活に必要なアイテムばかり。
100%オーガニック原料ではありませんが、認証済オーガニック原料とナチュラル原料を用いて作られていますし、フランスのエコ化粧品認証「エコサート」マークがついているので、危険な化学物質が混入していないことは保証済。

このように、2010年春夏のH&Mサステナブル・コレクションは、単なるオーガニック服に留まらず、様々なカテゴリや分野へと広がり、大きく進化しています。

そもそも、質を抑えて耐久年数が短い服を、早く安く作るファストファッションは、ビジネスモデル自体がサステナブルとはいえません。
でも、H&Mはその事実を認識しながら、必死にサステナブルになろうと努力している企業。

エコ推進派からは、ファストファッションに対する批判がよく聞かれますが、どんなに文句を言ったところで、世界中の人が本当にサステナビリティを理解し実践しない限り、ファストファッションビジネスが消えてなくなることはありません。
それならば、ファストファッションという形態のまま、サステナブルになる道を選んでいるH&Mのような企業を支持することも、大切なことなのかもしれません。

それに、ファストファッションだからといって、1-2シーズンで捨ててしまう必要はありません。
サステナブル素材で作られた長く着られるデザインの商品のみを選び、着られなくなるまで着倒し、そして、着られなくなったら家の中で着る、家でも着られないほどぼろぼろになったら雑巾にする、という具合に長い年月大切に扱えば、たとえファストファッションであってもサステナブルになり得るでしょう。

サステナビリティとは、持続可能であること。
必要以上のモノを消費することは、地球の資源を無駄に消費することであり、持続可能とはいえません。
たくさんモノを持たなくても、豊かな感性に従って生きれば、おしゃれな生活はできるはず。

H&Mのサステナブルコレクションは、ファストファッションとサステナビリティの関係を考えさせてくれるきっかけ作りをしてくれているのかもしれません。

H&M
ウエブサイト: http://www.hm.com/

2010/04/08

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