sigg
(Photo by Sterlic from flickr.com)

アルミボトルのSIGGに批判の嵐
BPA混入騒ぎで古いボトルを交換する事態に

ペットボトル水を購入する代わりにマイボトルを使おうというムーブメントが起こってから早数年。
昨今は、マイボトルの素材として、ステンレスとプラスチックとアルミのどれが良いのかが議論になっていますが(こちら)、ここ一ヶ月、アルミボトルで有名なSIGG社がアメリカの消費者から大批判を受けています。

事の発端は、今年8月にSIGG社CEOが出した声明文。
昨今のBPA(ビスフェノールA、詳しくはこちら参照)に対する消費者の関心の高まりと共に、米国内のいくつかの州でBPAに対する規制を設けようという動きが出ていますが、そうした状況を受け、SIGG社CEOのスティーブ・ウェイシック氏が以下の内容の声明を発表。

ボトル内のBPA成分に対する懸念が広がっているが、同社は06年6月からBPAフリーのボトル開発プロジェクトを立ち上げて研究を続け、08年8月にBPAフリーの「エコケア」コーティング製品を生産しており、現在販売しているSIGG社のアルミボトルにはBPAが含まれていない。

恐らくSIGG社は、グリーン企業として透明性が大切と考え、上記のような発表したのでしょう。
ところが、この声明があだとなり、消費者の間から、「08年8月以前に購入したボトルにBPAが含まれているなんて聞いていない!なぜ最初に説明しなかったんだ!」という大批判が起こってしまったのです。

そこで、今年9月1日に、同社CEOが再度以下の内容の声明文を発表。

先月出した声明文に対する顧客の皆さんの反応を見て、初期の段階でコーティングに関する情報を明示しなかったことを謝罪したい。BPAフリー製品発売前に「BPAフリー」と表記したことはないが、顧客の皆さんを混乱させないよう、より明確なコミュニケーションをとるべきであった。100年以上もの間SIGG社は品質に対する名声を得てきたが、これに甘んじることのないよう、BPAを懸念する方のために、任意で古いSIGGボトルを「エコケア」ボトルに交換することにしたい。

ボトルを交換できるのは、米国・カナダ在住者のみ。持っているSIGGボトルの内部コーティングが「エコケア」でないことを確認し(エコケアはクリーム色、それ以前はブロンズ色:写真などは同社サイトで確認可能)、10月31日までに、送料負担でSIGG社にボトルを送ります。同じデザインの商品が生産中止になっている可能性もあるので、その後SIGG社が個々に連絡を取り、新ボトルを発送する、というシステムです。
あくまでリコールではなく、SIGG社の善意の交換プログラムであるため、返品・返金は不可、交換のみで、送料は顧客負担となります。

この処置に対し、1年以上前に購入したものなんだからそこまでしなくても、という穏健派、交換時の送料はSIGG社が負担すべきでは、という過激派の両者いるようですが、とにかくこの2回目のSIGG社CEOの声明により、事態は収束に向かう様相を呈してきました。

声明の通り、SIGG社が商品に「BPAフリー」と記載しはじめたのは、1年ほど前だったように思うので、昔のことを穿り返さなくてもとも思えるのですが、これまで消費者間でボトル論争が繰り広げられる中、SIGG社が同社商品のBPA混入に関する明言を避けているように見えたのも事実。声明文に対する批判が高まったのも、そうした背景があったからと思われます。

この一連の出来事から見てとれるのは、アメリカの消費者は非常に積極的に自分の意見を主張するということ、そしてそれが企業の方針を動かす大きな力になっていること、企業側は消費者の声に誠実に対応していること。つまり、消費者と企業とのクリーンな関係が見えてくるように思いませんか。

消費者が、気になることを徹底的に勉強し、疑問に思うことをまとめ、きちんと名前や顔を出して意見するという姿勢は、とても大切。
誰かがやればいいと無気力になるのでもなく、陰で集団を作って弱い者を叩くのでもなく、自分の意見を持って正攻法で疑問を投げかけることにより、企業はその声に対峙せざるを得なくなります。

一方企業側も、常に正しいことを行うのが先決ですが、誤ったことや誤解を招くようなことをしてしまったら、誠意を持って説明・対処すれば、消費者の理解を得られるはずです。
SIGG社のケースでも、現在でもBPAコーティングを使っているボトルメーカーは多々ありますし、まだBPA使用の法規制があるわけではありませんから、本当は声明を発表する必要も回収交換を行う必要もなかったのでしょうが、同社は消費者の声に耳を傾け、誠意ある対応をしたといえます。同社のこの行いにより、今後、他のアルミボトルメーカーも追随するようになり、アルミボトルのBPA撤廃が実現するかもしれません。

環境問題は非常に複雑で、実際に何が正しく何が間違っているのか、私たち人類の力ではすべてを解明することはできないでしょう。
ボトルの安全性に関しては、直接川や泉から手ですくって水を飲まない限り、どんな容器であっても完全に安全ということはないと思われます(川や泉の水自体が汚染されている可能性もありますが・・)。
でも、皆が疑問に思うことをきちんとした形で意見をすれば、企業や政府は動き、世の中は少しずつ良い方向に変わっていきます。
今回の一連の事件は、そんなことを訴えかけているような気がします。

ひとりひとりの力が、大きな力に。
世の中で起こっていることに好奇心を持ち、知って、行動して、良い社会を作って行きましょう!

ニュースリソース:
SIGG社CEOの手紙
SIGG社交換プログラム

関連記事:
ウォーターボトル、ステンレス vs プラスチック vs アルミ、どれがエコ?
クリーン・カンティーン
コー・ワン
水道水vsペットボトル水

SIGG
ウエブサイト:http://mysigg.com/

2009/09/04


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